
INTERVIEW
半導体の研究を約10年。研究者が、ものづくりの現場に「使えるAI」を届けるまで
エンジニア I.R.

PROFILE
I.R.
エンジニア
- 半導体メーカー
- 半導体スタートアップ 研究開発
- AICEエンジニア
半導体メーカーや研究所などで、約10年間、材料・デバイスの研究開発に従事。現象を理解し、実際に役立つものへつなげる仕事に取り組んできた。現在はAICEで、製造業向けの3次元CADデータ分析システムを開発している。 休日は、子どもとレゴやプラレールでデジタルデトックス。色をきれいに揃えたい父と、自由に組み立てたい子どもたち。研究では理詰めで勝負してきたが、レゴでは子どもの作品のほうがいい出来になることも。その自由な発想に、父のほうが学んでいる。
「因果を詰めきる」 — 当てずっぽうを許さなかった、半導体材料の研究開発
半導体の研究には、どんなところに惹かれたのでしょうか?
目に見えないミクロな世界の現象を、筋道立てて理解できるところです。その理解をもとに現象を制御して、実際に役立つものをつくれる。そこに面白さを感じて、学生時代から研究を続けてきました。
新卒で半導体メーカーに入り、その後も半導体の領域で、センサーや通信用デバイスなどを研究・開発してきました。基礎的な研究から製品化、量産まで、一通りの段階を経験しています。
研究の中で、特に印象に残っている経験はありますか?
半導体スタートアップで、酸化ガリウムという半導体材料を研究していたときのことです。この材料に、狙った電気的な性質を持たせるという、難しいテーマに取り組んでいました。
実現できるか分からない研究なので、成果をどう捉えるかは大事にしていました。仮に実現できなくても、その方法では難しいと示せれば、後続の研究者が同じ行き止まりに時間を使わずに済みます。成功も失敗も、次の研究につながると考えていました。
同時に、別の材料を組み合わせる方法も考えました。新しいデバイスを構想し、実際に動作することを確かめたんです。目標の材料が得られない中でも、別の道を探して一つの形にする。この姿勢は、今の自分にもつながっています。
研究を通じて、どんな強みが身についたと感じますか?
自分の強みは、「現象の因果を詰めきること」だと思っています。うまくいかないときに、当てずっぽうで条件を変えるのではなく、なぜそうなるのかを突き止める。原因を理解して、再現できる改善に落とし込むことを大切にしてきました。
「中からでは、変えられない」 — AIが入らない現場を見て、学ぶ側に回った決断
AIの仕事に関心を持ったきっかけは?
半導体の研究開発や製造の現場で、AIの導入がなかなか進まないと感じたことです。自分が見てきた現場には、ミクロな世界を職人的に扱う部分がありました。
研究そのものをAIで前進させられないか。人の手だけでは難しい課題に活用できないか。高齢化が進む生産現場の負担を軽くすることにも、AIが役立つのではないかと考えていました。
実際に現場で生成AIを使ってもみたのですが、業界の内側から変えていくことには限界も感じました。AIをやってきた人が半導体の業界に入るか、半導体をやってきた人がAIを学ぶか。そのどちらかが早いのではないかと思ったんです。一度自分が外へ出て学び、その経験を半導体やものづくりの世界へ還元したい。それが、次の仕事を考えるうえでの決め手でした。
「一度自分が外へ出て学び、その経験を半導体やものづくりの世界へ還元したい」
その中で、AICEを選んだ理由を教えていただけますか?
きっかけは、転職サイトを通じて声をかけていただいたことでした。当時はAIやデータサイエンスに限らず、半導体の分野も含めて広く探していました。育児や介護との両立が必要だったので、フルリモートで働けることも大事な条件だったんです。
面接で話す中で、AICEは現場の課題をどう定義し、AIをどう落とし込むかを大切にしていると感じました。そこに、自分の経験や目指す方向との重なりがあった。現場で何が必要かを考える姿勢に共感できたことと、柔軟な働き方ができること。その両方が、AICEを選ぶ決め手になりました。
「形を、どう捉えるか」 — 製造業のCADデータと、研究とは違う開発の速さに向き合う現在
現在は、どんな開発を担当していますか?
製造業向けに、3次元のCADデータを分析するシステムを開発しています。CADデータは、製品の設計図のような、立体形状を表すデータです。
その形状の特徴をどう捉え、どうアルゴリズムやシステムに落とし込むか。CAD領域ならではの考え方を学びながら取り組んでいます。
製造業のAI活用を進めたいと思って入社したので、こうして現場のデータに向き合えているのは嬉しいですね。早い段階で、自分のやりたかったことに近づけていると感じます。
入社して、新しい仕事の進め方にはどう慣れていきましたか?
違いを感じたのは、開発のスピードです。ハードウェアの研究は長い時間をかけて進めますが、AICEでは短いサイクルで開発が進みます。チームの進め方や全体像をつかむ中で、自分の仕事の進め方も少しずつ調整できてきました。
一方で、細かいところまで詰める研究の姿勢は、今の仕事にも生きています。入社直後のシステムの性能改善でも、その手応えを感じました。
「都合が、つきやすい」 — ダブルケアの毎日と、年齢差を越えて話せるAICEの人たち
働き方について教えてください。
今はフルリモートで働いています。地元で母の介護と子育てを並行する、いわゆるダブルケアの状況にあり、4月には3人目の子どもが生まれました。その際には、2週間の育休も取得しています。
実際に働いてみて、家庭の事情に合わせて柔軟に働けると感じます。育児や介護との両立が必要なことを受け止めてもらえている。そうした事情があっても、新しい分野の仕事に取り組める環境はありがたいですね。
一緒に働くメンバーには、どんな印象を持っていますか?
自分より若い方が多く、明るく前向きに挑戦する姿に刺激を受けています。特に印象的なのは、ベテランの方への接し方です。相手への敬意がありながら、自分の考えもきちんと言葉にできる方が多いと感じます。
これまで新入社員のOJTを担当したこともあるので、そういうやり取りには自然と目が向くんです。年齢の幅はありますが、日々の仕事でコミュニケーションの壁を感じることはありません。
代表の佐藤さん、高橋さんには、それぞれどんな印象がありますか?
お二人ともエネルギッシュですが、タイプは違うと感じます。佐藤さんは、いい意味で天真爛漫。高橋さんも明るい方ですが、より落ち着いて、会社の基盤を固めているように感じます。
同じようにエネルギーがあっても、その表れ方が違う。そのお二人がいるのが、AICEなんだと思います。
「最後の一押しを、磨く」 — 性能を仕上げる仕事から、ものづくりとAIの橋渡しへ
これから、AICEでどんな役割を担っていきたいですか?
スピードで押すというより、最後の仕上げで貢献できたらと思っています。性能を引き上げる最後の一押しを、丁寧に磨き込む。そこに自分の価値を出せるのかもしれない、と入社してから少しずつ感じるようになりました。
その先では、これまでの半導体やハードウェアの経験とつながる領域にも関わりたいです。ものづくりの現場に、AIを本当に使える形で届けたいという目標は、入社前から変わっていません。
ものづくりとAIの間で、どんなことに取り組んでみたいですか?
半導体に限らず、工場で人がやらなくていい作業は、ロボットに任せられたらいいと思っています。そのためには、ロボットに載せるAIを、実際に使う現場に合わせてつくることが大切です。求められる働きは業界や現場によって違うので、その違いを踏まえて、現場とAIの橋渡しができたらと思います。
こうした、物理的なものを扱う領域とAIが交わるところに、自分の物理やハードウェアの背景を生かせるのではないかと考えています。具体的にどんな形で取り組むかは、まだ一つに決めていませんが、そこで力を発揮できるよう、経験を積んでいきたいですね。
最後に、候補者へのメッセージをお願いします!
私自身、半導体の研究者からAIのエンジニアへ、大きく仕事を変えました。でも、これまでの経験を持ったまま、新しいことを学んでいけると感じています。専門領域で積み重ねてきたことも、AIと掛け合わせることで強みになると思うんです。
AICEには明るい方が多いですが、必ずしも同じタイプでなくても馴染める場所だと感じます。異業種からの転身を考えている方にも、大丈夫ですよ、と伝えたいですね。これまでの経験を生かして、その先を広げてみたい。そんな思いや、やってみたいことを持つ方と、一緒に働けたら嬉しいです。


