
INTERVIEW
AIに聞ける時代に、なぜ人に聞くのか──現代美術・広告を経たPMの仕事
プロジェクト責任者 関 透真Seki Toma

PROFILE
関 透真Seki Toma
プロジェクト責任者
- 総合広告代理店
- コンサルティング・事業開発
- AICEプロジェクト責任者
大学で現代美術の制作に打ち込んだ後、総合広告代理店へ。アートディレクターとして2年、プランナーとして7年にわたり、企画とブランドづくりを経験した。その後はコンサルティング、事業づくり、組織のブランディングへと仕事の幅を広げ、現在は保険・金融領域のAIプロジェクトで、要件整理や進行管理を担当している。 趣味は絵を描くこと、料理、ジョギング、ゴルフ。高校時代は油絵、今はにおいの少ないアクリルガッシュ派。仕事でも休日でも、ジャンルを問わず「つくること」が好きな人。
「つくる仕事を続けたい」 — 現代美術から広告の世界へ
現代美術から、広告の仕事へ進んだのはなぜですか?
大学では一つの分野に絞らず、現代美術を中心にさまざまな制作を試していました。アーティストとして生きる道もありましたが、どう生計を立てるのかは現実的に見えなかったんです。
それでも、手を動かして何かを生み出す仕事には関わり続けたいと思っていました。そこで見つけたのが広告です。つくったものが、仕事として世の中に届いていく。その景色を具体的に想像できたことが、広告代理店を選んだ決め手でした。
アートディレクターからプランナーへ移ったきっかけは?
動画制作の経験があったので、入社時はアートディレクターとして働き始めました。ところが実際の仕事では、表現を磨くこと以上に、「この広告で何を伝えるのか」「そもそも何をするのか」を考える方に興味が向いていったんです。
アートディレクターを2年務めた後、プランナーへ移りました。デザインの経験があるから、企画したものが最後にどう見えるかまで想像できる。その視点は、プランナーとしての強みになりました。制作から離れたというより、考え始める場所が少し前へ移った感覚です。
企画の仕事で、特に印象に残っている出来事はありますか?
社会人3年目に携わった大型コンペです。対象のブランドは名前こそ知られていたものの、何のサービスなのかまでは十分に伝わっていませんでした。そこで目立つ表現を考える前に、まず何を知ってもらうべきかを整理しました。
そのうえで、機能中心だった訴求を、映画のワンシーンのような情緒的な表現へ組み直しました。提案は採用されましたが、強く残ったのは勝ったことより、捉える問題が変われば、表現も変わるという実感です。それからは、依頼されたものをすぐ形にする前に、「何から考えるべきか」を確かめるようになりました。
「表現の手前から考えたい」 — 企画から事業・組織へ広がった関心
広告での経験を重ねる中で、関心はどこへ向かっていったのでしょうか?
広告の仕事を重ねるうちに、「この商品をどう見せるか」だけでなく、なぜ選ばれるのか、どんな体験を届けるのかまで考えたいと思うようになりました。そこでコンサルティング会社へ移り、ユーザーの声や行動を調べながら、事業やサービスの形を考える仕事に携わりました。
広告とは扱うものが違っても、人を知り、何を変えるかを考えるところは同じでした。表現だけでなく、その前提になる事業や体験にも関われることが面白かったんです。
キャリアを重ねる中で、自分の軸として見えてきたものはありますか?
振り返ると、仕事内容が変わっても、「面白いものや、まだ見たことのないものに関わりたい」という気持ちは一貫していました。特に新しい技術に触れると、それを誰にどう届ければ価値になるのかまで考えたくなります。
先端技術を使ったサービスづくりでは、技術そのものが面白くても、形にしただけでは使い続けてもらえない難しさを知りました。だから次は、技術の可能性だけでなく、使う人の課題や体験まで一緒に考えたい。これまで培ってきた「広義のデザイン」を、新しい技術の領域で試したいという軸が見えてきました。
「これまでの経験を、新しい現場へ」 — AIへの好奇心が、次の選択に変わるまで
AICEに関心を持ったのは、どんなところでしたか?
AIが、これまでの仕事やサービスのあり方を大きく変えていく技術だと感じていたことが出発点です。AICEがAIを中心に扱っていると知り、自分が惹かれてきた「新しい技術」と、これまで考えてきた「どうすれば人に使われるか」を、一つの仕事として扱えるかもしれないと思いました。
広告や事業づくりで培った視点を持ち込み、AIについては学びながら仕事の幅を広げていく。これまでの経験と、これから学びたいことが交わる場所に見えたことが、AICEに惹かれた理由です。
選考で話を重ねる中で、気持ちはどう変わっていきましたか?
選考を通じて、AICEで働くイメージが具体的になっていきました。ある面談で技術面の不安を相談すると、AIについては学びながら取り組めると分かりました。別の面談では、デザイン思考がAIの現場でも役立つという話で盛り上がり、これまでの経験を持ち込める手応えも得たんです。
お会いした方々の人柄にも惹かれ、ここなら、自分の経験を活かしながら新しい領域に挑戦できる。そう思えたことが、入社の決め手です。
「聞ける関係を、先につくる」 — 常駐PMが大切にする仕事の進め方
現在は、どんな仕事をしていますか?
保険・金融領域のクライアント先に常駐し、AIプロジェクトのPMを担当しています。要件定義の支援や機能の整理、進行計画の作成、クライアントとの調整など、プロジェクトを前へ進めるための仕事です。
この仕事でまず欠かせないのが、保険・金融の業務を理解することです。定例資料にも目を通し、分からない言葉は自分で調べる。それでも判断できないことは、現場の方へ確認します。疑問を抱え込まず、早めに認識をそろえることを大切にしています。
現場の方に確認するとき、意識していることはありますか?
自分なりの理解や仮説を伝えてから、尋ねるようにしています。その方が相手も答えやすく、認識のずれにも気づきやすい。広告やコンサルティングの頃から続けている、専門の異なる人と仕事を進めるための基本姿勢です。
AIも活用する中で、人との対話では何を大切にしていますか?
AIは、知らない言葉を調べたり、情報を整理したりするときの頼もしい助けになっています。実際、AIに聞けば早く分かることはたくさんあります。
ただ、現場の方に聞くと、答えと一緒に「なぜそれを大切にしているのか」も見えてきます。業務の背景や判断の基準は、用語の意味だけでは分かりません。AIには調査と整理を助けてもらい、人とは前提や判断をそろえる。その両方があって、プロジェクトを前へ進められると思っています。
「AIには調査と整理を助けてもらい、人とは前提や判断をそろえる」
「気になったことを、そのままにしない」 — プロジェクト先から見えたAICEの空気
AICEらしさを感じるのはどんなときですか?
普段はプロジェクト先にいますが、Slackを見ていると会社の空気は伝わってきます。新しい話題や知見がすぐ共有されますし、雑談も含めて本当に幅広い話が飛び交っています。情報を抱え込まず、思ったことをまず出してみる人が多いですね。
投稿すると誰かが反応し、そこから話が広がっていく。そうしたやり取りから、メンバー同士の距離の近さや、会社のエネルギーを感じています。
代表のお二人には、それぞれどんな印象がありますか?
高橋さんとは仕事で話す機会が多いのですが、フットワークが軽く、思ったことをすぐ行動に移す人という印象です。判断も早く、次にやることがすぐ具体的になります。
佐藤さんについて印象に残っているのは、デイリーミーティングで私がAIへの考えを少し話したときのことです。すぐに「それは気になる」と反応してくれました。関心を持ったことをそのままにせず、まず会話を始める。
形は違っても、お二人とも、関心を次の動きに変えるのが早いと感じています。
「面白いを、使えるところまで」 — 技術と人の間で目指す役割

これから、どんなPMを目指していきたいですか?
まずは、AIの技術をもっと深く理解したいです。何ができて、どこに難しさがあるのかが分かれば、プロジェクトの選択肢をより具体的に考えられるようになります。
一方で、技術だけを見ていても、現場で使われるものにはなりません。先端技術を使ったサービスづくりを経験したとき、形にすることと、使い続けてもらうことは別だと知りました。誰のどんな仕事に使うのかを考え、技術を持つ人と現場をつなぐ。そんなPMを目指しています。
AICEで、これから挑戦したいことはありますか?
AIサービスの開発に、これまで培ってきたブランドや体験設計の視点を掛け合わせたいです。技術的に優れていても、「誰のために、どんな課題を解くのか」が曖昧では、使い続けてもらえるものにはなりません。
ユーザーの声や行動から課題を捉え、プロジェクトの上流から体験までを一貫して考える。そうすることで、技術の可能性が現場の価値として届くところまで関わっていきたいです。
最後に、候補者へのメッセージをお願いします!
AIの仕事では、技術を学び続けることが欠かせません。同時に、クライアントの仕事を知り、何に困っているのかを整理する力も必要です。
私のように非エンジニアの仕事を長く経験してきた人にも、その経験を活かせる場面があります。分からないことを調べ、人に聞き、自分の考えを持って話せる人なら、新しい領域でも前へ進めるはずです。これまでの経験を持ち寄りながら、一緒に学んでいけたらうれしいです。


